
平成29年度 JEO環境セミナー 第1部
平成29年10月16日(月) 17:45~20:00 國民會館・武藤記念ホール(大阪市)
参加者:163名(関係者含む)
第1部 基調講演 講師:安田菜津紀 氏
「写真で伝える仕事、世界の子どもと向き合って」
ご自身の紹介を「フォトジャーナリスト……写真を通して世界で何が起こっているかを伝
えるのが仕事」とおっしゃていた安田さんより、東日本大震災直後から入られていた陸前
高田市での出来事や、イラクを含め、現在も取材をされている中東で関わった子どもたち
から感じた事などをお聞きしました。
2011.4.21 気仙小学校で行われた入学式の写真から。
新入生は2人。この日を迎えるために様々な人が奔走されたそうです。
写真家としても、ほんの一握のことしかできなかったと語られる安田さん。
一人の人間が全部をする事は不可能ですが、其々が出来る事を持ち寄る事で
この日の様に乗り越えられる物があるのかも知れない。
二人の命が私たちにとって大切な事を呼び起こしてくれたと感じられたそうです。
私たちにも一企業として、一個人として、何かできる事があるはずですね。
節目と云う言葉の意味。
メディアでは「震災から5年の節目」などと「節目」を使われています。
5年が経ったから節目と云うが、現地で暮らす人々にとっては5年が経っただけ
に過ぎず、節目ではないと云う事を、訪れる度に感じられるそうです。
安田さんが思う「節目」とは、
彼らが5年後、10年後、安心して暮らしていける町になっている時が節目、
安心して自分たちの子供を育てられる町になっている時が節目。
心を寄せて行きたいのはこれからではないでしょうか?
節目とは、それを分かち合う言葉でありたい。と続けられました。
中東でのお話しを3つ。
①ISが支配をしていたイラク北部の町。
2016.9アメリカを中心にした有志連合軍が奪還の為、空爆を始めた事により、
ISが油田に火を放ち、暗雲が立ち込めてしまった写真を見せて頂きました。
現在は、ほぼ鎮火しているが未だ火は立っているし、劣悪な環境になった事には変わりないそうです。
②2011.3 中東の各地で大規模な反政府デモが繰り広げられ、内戦へと繋がっていった。
シリアの人口2千万人に対し、避難民は1千2百万人にのぼる。
紹介頂いた写真は、カシオン山から見た首都ダマスカスの風景写真。夕景、夜景、子どもたち。
安田さんが最初に訪れた2009年は未だ内戦のない時代。
バックパッカーが多くここは戦場でもなかったし、避難民も居なかった。
③ヨルダンの人口が6百万人の所へ、シリアから70万人逃れてきた。
その中で、一番大きな難民キャンプ「ザータリ」の事
砂地の真ん中に作られたキャンプ。配給のパンを受け取った横で直ぐにそれを
売ってお金を得ている子ども。キャンプに学校はあるが、子どもたちは空腹で
勉強に集中できないでいる。
ゴミの中から、お金に換えられる、あらゆる物を拾っている子ども。
銃撃を受け入院している子ども。
彼らとの関わりの中で直接命を救える仕事ではないフォトジャーナリストと云う仕事を選んだ事へ自問自答の日々を過ごしている時、
現地のNGOで働いている人から貰った言葉により、導き出された事は、
「人を支える形は様々で、ひとりの人間が全ての役割を果たすことはできません。
けれども其々が出来る事を少しずつ持ち寄れば小さかった輪は広がっていく。」と云う事だそうです。
安田さんは現地を訪れ続け、ここで何が起こっているかを世界に広めていかれる。
子どもたちが生まれてきて良かったと思えるそんな優しい社会をめざして行か
なければならない。その役割をどう持ち寄るのか。。。
安田さんの心温まるお話を胸に自身の出来る事を探して行きたいと感じました。
多くの方々にご参加頂きました事、又安田さんの素晴らしいご講演と出会いに感謝申しあげます。
2017.10.20 JEO事務局
第2部 パネルディスカッションの様子は近日中に更新いたします。