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活動紹介
公益社団法人 全国環境対策機構は、「環境教育・啓発活動」「環境対策支援活動」「社会貢献活動」を重点活動として取り組みます。

2019年度JEO環境セミナー

日 時:2019年12月10日(火) 17:30~20:00
場 所:大阪国際ビルディング(大阪市)
参加者:175名(関係者含む)


代表理事辻正夫  主催者挨拶として、自身が環境問題に関心を持ったことが社団設立の経緯であること、「戦争がない平和な社会であることと、人類が生きて行ける環境が守られていること」が持続可能な社会の実現に向けた普遍的課題であることを訴え、講師及び参加者の皆様への感謝の言葉を述べました。
代表理事 辻 正夫


理事木下豊一 「JEOのご紹介」

 JEOの主な活動のご紹介と、活動に対するご支援・ご協力のお願いをさせていただきました。
理事 木下 豊一


みのり税理士法人金野真和さん 「寄附に対する税制優遇について」

 公益法人に寄附をした場合に受けられる税制優遇についてご説明をいただきました。
みのり税理士法人 税理士 金野 真和 氏



「地球温暖化と私たちの未来」

講師:江守正多 氏

 まず映像資料「2050年の天気予報」を視聴しました。私達が今のままのペースで何ら対策を取らずCO2を排出し続けた際の30年後の地球の姿が其処にはありました。映像が作られた5年前には、「大げさなのではないかと」言った声があったようですが、近年の異常気象を経験すると、とても大げさではないと思えました。



講演の項目

 地球温暖化のしくみ
 近年の世界平均気温の変化傾向
 温暖化で異常気象が増えている?
 8つの主要なリスク
 適応策
 将来の気温上昇予測と対策の長期目標
 気温変化シミュレーション
「2℃未満」目標を達成する排出削減経路
 “次世代”という利害関係者
 IPCC「1.5℃」特別報告書
 1.5℃を超えると、何が本当に困る?
 ティッピング要素とその連鎖
 脱炭素化の主な方法
 世界のエネルギー源の推移
 江守氏の試論
 日本政府のパリ協定長期成長戦略
「1.5℃」と持続可能性の関係
「私たちにできることとは」
江守さん講演


 地球温暖化との関係で現況がどのような意味を持つのか、科学的根拠によりデータを示しながら分かりやすくご説明いただき、このことが世界でどのように受け止められているか、又、我々はどのように受け止めて行けばいいのかをご説明いただくとともに、ご自身の見解をお伺いしました。


 一部ご紹介いたします。


具体的な削減目標について
 パリ協定では世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追及することが世界の共通目標として合意されている。現時点ですでに1℃上昇しているので、1.5℃に抑えるためには、あと30年でCO2の排出量をゼロにしなくてはなりません。気温上昇は「1.5℃なら大丈夫で2℃なら困る」のではなくて、現時点の1℃の上昇で既に深刻な被害がでていて、1.5℃ならもっと、2℃ならもっともっと困るということです。

温室効果ガス削減には、化石燃料からクリーンエネルギーへの政策の大転換が必要だが、社会の全員が意識改革することは容易でなく、危機感を持つ一部の人間の行動は無意味ではないかとの疑問に対して。
 社会の意識転換を待たねば社会が変革しないわけではないことを、現在常識となっている分煙を例に挙げて説明された。
 当時、世界の多数人が「受動喫煙の医学」や「健康増進法」の知識があった『から分煙』が常識になったわけではなく、喫煙の害をよく知るごく一部の人による働きかけによって分煙が常識となるに至った。同じように、最初は地球温暖化防止対策に知識や興味がない人が多数であっても、一人ひとりが普通の暮らしの中で、『CO2を出さない社会の仕組み』に小さな貢献をすることで、やがては社会全体を動かす大きな一歩になるのではないか。

クリーンエネルギー(太陽光パネルや風力発電など)にも問題はあり、果たして化石燃料に代替可能か、との疑問に対して。
現在のクリーンエネルギーに問題が多いことは否定できない。しかし、過渡期に露呈した制度の欠陥に由来するものも多く、温室効果ガスの削減を第一義に考えれば、課題があろうとも克服して転換を進める他に方法なく、技術的にそれは十分可能である。クリーンエネルギーの技術が発達すれば、おのずとそれを使わない理由はなくなるので、エネルギー転換は必然的に実現する。


 講演後、質疑応答で5名の方からの質問にお答えいただきました。
江守さん



 政治、企業、科学が「社会の仕組み」の面を担うのであれば、その社会を構成する私たちにできる事は、地球温暖化自体にまずは関心を持ち、知り得た知識のリニューアルを心掛け、周りの人と情報共有し、発信することにあることがわかります。そして、このことが、JEOの支援すべき「幼い子供たちや生まれてくる生命」に対して責任のある行動を取ることでもあります。

会場の様子


理事田村昭成
理事 田村 昭成  「閉会の挨拶」



*******参加者の感想*******

「ゆでガエルの恐ろしさ」
地球温暖化問題を論じれば常に懐疑論者の批判に晒されるが、江守氏のデータをみれば、世界の平均気温の推移は、上昇と停滞・低下を繰り返しつつ徐々に切り上がっていることが一目瞭然である。しかし、一直線の右肩上がりではないので短期的な変化が見えにくく、ここに、人間の「短期的な利益を過大評価する半面、長期的な利益は過小評価する」習性が加われば、対策を先延ばしにする理由探しが始まる。曰く、代替エネルギーへの懐疑(原発の危険性、ソーラーパネルや風力設備の環境破壊)、曰く、環境破壊論者の胡散臭さ(環境破壊を訴えながら人一倍環境負荷をかけた生活を続けるセレブの偽善的態度)、曰く、個人の無力感(一人にできることは限られている)等々…
しかし、江守氏は、現状の問題点は否定せず、それでも問題を解決しながら進んで行くしかないし、それは可能であると、科学的見地から逐一説明された。私には、懐疑論者の現実逃避的論調よりもはるかに納得できたので、環境対策には小さなことでも前向きでありたいと思う。何よりも、近い将来に迫る「ティッピング・ポイント」が怖くてたまらないので。(大阪市在住・50代男性)


「周囲に発信することの大切さ」
街を歩いている人に「地球温暖化について・・・」と話しても、殆どが関心を示すことはないでしょう。しかし、このセミナーを受講した方々が口口に「温暖化による異常気象」を伝えたら、少しずつではありますが、世の中の人々の認識に変化が表れるはずです。その「危機を伝える」ことの大切さをこのセミナーで実感しました。
私は再生可能エネルギー事業にかかわっておりますが、まだまだ政府のエネルギーミックスの施策においては、再生可能エネルギーの比率は5%程度です。
江守先生のセミナーを通じて、その重要性を痛感しました。地域の自然を破壊するとか、撤去した場合の問題等々ありますが、それらをしっかり法整備して、石炭や原子力に頼らない社会を築いていきたいです。(東京都千代田区在住・60代男性)

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多くの方々にご参加いただきましたこと、
又、セミナー開催に際し、ご登壇を快諾いただきました江守様に深く感謝申し上げます。
2019.12.27 JEO事務局